Phantoms in the Brain

日々関心のある事を綴っていきます

デイケアでの出会い

僕は精神を病み、長い間休職と復職を繰り返していた。幸い、今は順調に回復し、会社に復職して1年が経とうとしている。前回の休職時、僕は半年の間デイケアに通っていた。

デイケアとは、福祉・医療関係施設が提供するサービスの一種で、日帰り療養とも呼ばる「通所リハビリテーション」である。利用者同士が交流するということによって社会復帰や入院予防を目標としている。

今回は、そのデイケアで出会った人の話を書こうと思う。

 

一人目を仮にFさんとしよう。Fさんは、僕がデイケアに通いだして2ヶ月後くらいにデイケアに現れた。色々な事に造詣が深く、創作活動に熱心で、デイケアの運営も支援するような活発で知的な男性だった。年が近かったこともあり、よく話たり一緒に活動していた。

一見精神疾患とは無縁のように見える彼だが、長い間デイケアから卒業する事が出来なかった。僕は先に復職したのだが、半年経った頃、風の噂でFさんが職場に戻ったと聞いた。我が事のように嬉しかった。

しかし、それから1ヶ月もしない年末、たまたまFさんと会う機会があった。会社を辞めて実家に帰る事にしたと聞かされた。1日働くことに心身共に耐えられないとのことだった。こんな有能な人でも社会との軋轢に耐えきれず、ドロップアウトしてしまうのかと思うと、なんとも言えない虚しさを感じた。

 

二人目を仮にNさんとしよう。Nさんは、180cmを超える長身で筋骨隆々、話してみると親しみやすく、僕がデイケアに馴染めるように色々気を使ってくれるお兄さんのような存在だった。 話を聞くと、中学時代野球の日本代表としてアメリカ戦で先発した経験を持ち、六大学野球でも活躍した生粋のスポーツマンだった。

彼は、仕事を転々とする中で精神を病み、仕事を辞めて生活保護を受けていた。デイケアは唯一と言っていい社会との接点だったようだ。今もたまに通っている精神科で会うと話をするが、デイケアを継続しているらしい。

 

二人共人間的に魅力があり、贔屓目なしに能力も高い。こういった人が、社会に馴染めず、社会から隔離され、社会から消えていく。損失でしかないと思う。彼らのような人は大勢いるのではないだろうか。すくい上げ、社会に居場所を作ることは出来ないものだろうか。

 

いつか僕に他人の事を考えるほどの余裕が生まれたら、何かしらの障害者支援に携わり、少しでも多くの人の助けになりたいと密かに考えている。

知能検査WAIS-IIIの結果とADHD

発達障害や知的障害が疑われる患者に精神科で行う検査にウェクスラー式知能検査WAISⅢというものがある。

僕はADHD(注意欠陥多動性障害)の疑いがあり、この検査を受けた事がある。臨床心理士の立会いの元、2時間程度で多様な14項目を検査するもので、非常に集中力を要した。

 

検査結果の詳細は以下のようなものだった。

 

f:id:Visualization:20170603211901p:plain

f:id:Visualization:20170603211632p:plain

全検査IQ138は、全人口の上位2%以内に入る数値で、ロザンの宇治原さんなどか加入している高IQ集団メンサの入会資格を満たしていた。(実際、検査結果をJAPAN MENSAに送れば試験無しで加入できるが、メリットが無いので加入はしていない)

 

一見良好に見える検査結果だったが、検査に立ち会った臨床心理士からは「非常に生き辛さを感じる知能傾向にある」といった趣旨の言葉と共に「コミュニケーション能力が比較的低く、話相手との意思疎通において齟齬が生じやすい」といった指摘を受けた。医師からは、この検査結果とチェックリストから、軽いADHDの傾向があるが、日々の努力で克服することができるレベルであり、薬物治療をするかの判断は僕に委ねると言われた。

 

元々、コミュニケーション能力が低いという自覚はあったし、生き辛さは常々感じていた。そのため、特に驚きは無かった。ただ、どこからその指摘事項を導き出したのか気になった。しかし、それ以上詳しくは教えては貰えなかった。

 

僕は家に帰るなり、CiNii BooksでWAISⅢの検査方式や解釈事例の書籍がある大学図書館を探した。自分で詳細を調べることにしたのだ。幸い、家の近くの心理学科のある大学にWAISⅢに関する蔵書が多数あったので、すぐさま調べに向かった。合わせて、ネットに掲載されているWAISⅢに関する情報も参考にした。

 

わかったのは、以下の通りだ。

  • 数値の高さはさして重要ではなく、各検査・群指数のバランスが重要であること。一般的に、各群指数の差が15以上ある場合、何かしらの発達障害が疑われるとのこと。僕の場合、作動記憶と知覚統合には48と際立った差があった。WAISⅢ理論マニュアルによると、40以上差の出現頻度はたった1.4%だった。
  • 同様に各群指数に際立った差がある場合、低い群指数に足を引っ張られる形で、生き辛さを感じる傾向があること。
  • 作動記憶の低さは、聴覚的な短期記憶能力が劣っていることを示しており、耳で聞いたことを忘れたり間違えたりする傾向が強いこと。
  • 下位検査の数唱・語音整列のスコアを低さは、注意・集中力が劣っていることを示す。

 

耳で聞いたことを忘れたり聞き間違えたりする傾向が強いことに関しては、実際私生活や仕事でネックになることが多々あった。例えば、

  • 電話応対中に相手の名前や要件を聞き漏らしてしまい何度も聞き返えしてしまう。
  • 会議中の議論を追いきれず、議事録に抜け漏れが発生する。
  • 曲の歌詞が覚えられず、カラオケなどで歌うのが苦手。(音痴で苦手なのではない)

などが挙げられる。

 

自分の苦手な事を再認識できたという意味では、ウェクスラー式知能検査を受けた意味はあったのかなと思う。保険適用なら2000円弱で受けられるものなので、気になる方は検査をお願いしてみてはどうだろうか。